2015年11月27日金曜日

Splattack! MV 完成しました

ヌンチャクしめじ#11(しめじっくビデオ#1)

※Youtubeに付いている広告は任天堂のものです。
収益はすべて任天堂に入ります。



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今回はいつもの動画と違って、BGMとアニメーションをシンクロさせたMVとなっています。
どういう経緯で#11を作ろうと思ったのか。以下、長いぞ。




1分から2分ぐらいの短い尺のショートムービー「メイドインしめじ」シリーズを製作している最中、
ちょうど#8が完成した後(10月初頭)3DSでプレイしはじめた「リズム天国 ザ・ベスト+」

(「WiiFit」と同じく、手にした人の人生を大きく変えるポテンシャルを秘めたソフト。プレイすると本当にリズム感がよくなり、このソフトきっかけで将来ミュージシャンやダンサーになる子供が沢山出てくるレベル。
かくいう「Splattack! MV」も、このゲームでブラッシュアップされたゆるやかナウのリズム感を総動員して作られた)

で、
リズム天国においては、リズムゲーム4ステージごとに「リミックス」とよばれるメドレーステージが出現する。
これは直前までの4ステージのリズムゲームがBGMに合わせて入れ替わり立ち替わり出現するという難易度の高い、中ボス的なステージとなっている。

※この「リミックス」はちょうど、既存のアニメ素材を細かくばらばらにして並べなおす「AMV」や「MAD」とよばれるファンメイドのアニメ動画にその構造が似ている。

私は、リズム天国のリミックスをプレイしながら『今、製作にとりかかっている「メイドインしめじ」のエピソードストックが4本ぐらいになったら「しめじリミックス」として、作りためたアニメを音楽に合わせて再構築してまったく新しい動画を作ってみるのはどうだろう?』とひらめいた。

(とにかく「リズム天国 ザ・ベスト+」に感激して、「スイッチ」が入っていた)

リズム天国 ザ・ベスト+ (amazon)

リズム天国に出てくるキャラクター達とヌンチャクしめじが音楽に合わせてバカなことをやる、という動画を作ろうと思っていたが、そもそも「リズム天国」シリーズは「任天堂」とつんく♂の会社「TNX」のコラボ作品的な側面があり、映像の方で「リズ天」のキャラクターとヌンチャクしめじがコラボしていたら、なんだかゲームでも映像でもコラボコラボで構造がゴチャゴチャと複雑になってしまうような気がして、結果、リズム天国を直接的なモチーフとすることは見送ることになった。

#9(ハロウィン回)、#10(スマブラ回)とアニメが完成していくうちに、10月21日、予約していたSplatoonのサントラ「Splatune」が届く。
「あ、丁度良い、しめじリミックスはSplatoonの音楽で行こう」となったのだ。


9月13日に「30周年記念盤 スーパーマリオブラザーズ ミュージック」
10月7日に「ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D オリジナルサウンドトラック」
と、立て続けに任天堂から正式な音源が発売されており、クラブニンテンドーの無料プレゼント等などでしか入手できなかった正式な素材にいつでもアクセスしやすくなるという最近の流れを歓迎したい。

長々と書いたが要約すると、
「リズム天国」をやっているときに思いつき、「Splatoon」のMVをつくることにしたという話だ。


○最初にやったこと

「Splatune」に収録されている曲の中で「Splattack!」が一番「しめじちゃん」ぽいなと感じたし、3分54秒の尺でサビが2回(2コーラス)という構造だと、映像上の伏線とその回収がとてもしやすそうだと思ったので、このメインテーマ曲でミュージックビデオをつくることにした。

「Splattack!」を何回もきいていくうちにまっさきに思い浮かんできたのが、
『ヌンチャクが曲のテンポにあわせて手拍子していて、しめじちゃんがそれを邪魔する』というレイアウトだった。
1コーラス目のサビにこの二人が重なるカットをもってくることにして、そこから逆算してとりあえず冒頭から最初のサビが終わるまでワンコーラス分のアニメを完成させることとした。

BGMに合わせてアニメを付ける場合、何より重要なのは音楽のBPM(乱暴な言い方をするとBPM=どれくらいの速さでリズムを刻んでいるか)を知ることだ。
フリーソフトに音楽ファイルをドラッグ&ドロップするだけで自動的にbpmを算出してくれるものがあるのが調べてわかった。

それが、この「採譜支援ソフト WaveTone

日本人の方が公開されているソフトのようで、フォルダ解凍だけで使える高機能なソフト。
「Splattack!」をかませてみたときのUIはこんな感じ。
※このピアノロール風の画面を見ながら曲の構成を把握し、カット構成を練っていった。
曲が始まってすぐ入ってくるシンセサイザーのメロディが視覚化され何度も見ているうちに、
「これ、ヌンチャクのシッポの動きで表現できるんじゃないか」と思いつき
楽器のテルミンのようにシッポをつかって奏でさせることにした。
(「俺、テルミン、魔法みたいで、好き」)
で、
算出されたbpmは174。つまり、60秒に174回の拍子でリズムが刻まれているとのこと。
そもそも、「ヌンチャクしめじ」のアニメーションは第1話からすべて30フレーム/秒で製作されている。
(TVアニメよりじゃっかんなめらかに動いているのだ、えっへん)
これは、30fpsで録画したゲームのプレイ動画と合成することを前提としているためである。
(アニメ製作ソフトAnimeStudioProでは普通に60fpsのアニメも作れるんよ)

BGMが刻むbpm174という単位と、アニメーションの秒間に30回刻まれる単位をシンプルに機械的に統合することは不可能であることが判明する。
(機械的にアニメを作ってもどんどん音楽とずれて来ちゃう)

※↑ここに書いても面白くない、いくつかの試行錯誤の末えられた結論

そこでクリックと呼ばれる電子メトロノームの音をbpm174のリズムで出力し「splattack!」と合成して、アニメの動きを作るときはすべてこのメトロノームの音を聞きながら、すべて手作業で音と動きをシンクロさせていかなければならないようだった。

(クリック=大きなライブ会場でクチパクじゃないアーティストやアイドルが耳に付けているイヤモニでながれているらしい)

このMVにおいては、#7~#10の四つのエピソードから各カットのレイアウトはそのままに、キャラクターのまばたきやシッポの動きなどのアクションはすべてbpm174のメトロノームに徹底して手動でシンクロさせていくことになった。

つまり、動きの部分はすべて作り直すことになったんだ。

(まばたきとドラムの音が一致してるのがわかるとおもいます、ヌンチャクのシッポでメロディを奏でるカットなど、わざと決め決めじゃないカットもありますが)

メトロノームの音を音声ファイルとして出力する機能をもつフリーソフト
「Pendulum」(作者のホームページ)

まとめるとこんな感じ
・音楽とキャラクターが動いている映像を合わせるには愚直な手作業しかない
・初めての作業で試行錯誤があったからこそ、想定外のアイデアと出会えた


○なんとなくストーリーを感じさせる構成を生み出す

過去のエピソード#7~#10を再利用して作られているこのMV。
この素材にはそれぞれストーリーがあり、落ちがあるものになっている。
これらをすべて細かく刻んで……
「家庭科」の授業ちゃんと受けててよかったー!
ストーリーの継続性を利用し上記の「返し縫い」のようにカットを配置していくことで視聴者の興味を持続させられるようにした。

これを脚本術の専門用語で「サスペンス」と呼ぶ(「客の注意力・関心をサスペンドする」みたいにも使われる)

さらに、
1コーラス目(冒頭から最初のサビ終わりまで)と2コーラス目を対になるようにして、1コーラス目全体が「伏線」となるようにした。
序盤に配置したカットを後半で足し算やかけ算をほどこして再登場させることによって、前半のシークエンスをまるごと「伏線」としてしまう感じ。


①「返し縫い」によるシークエンス構造
②「一番」と「二番」を大きな対にする


「伏線とは置くものではなく、すでに置いてあるものだ -ゆるやかナウ」


○作者の先を行くしめじちゃん

私はCDケースを落としたり傷つけたりするのがいやなのでCDをパソコンに取り込むとすぐにしまうように普段はしているのだが、
この「Splatune」においてはパソコンに音源を取り込んだあともずっと机の上に出しっぱなしにしていた。

それは何故かというと、CDを取り込んだ時はまだオンライン上でこのディスクのアルバム情報が登録されておらず、音楽プレイヤーに楽曲タイトル等が自動的に表示されなかったからである。手元にCDジャケットがないと今流れている曲がなんていう曲名なのか分からなかったのだ。

CDケースを手でもてあそびながらサントラを聴いているうちに、ジャケットに大きく印刷されたインクリングの両目を実際に顔に当ててみたりして……

「しめじちゃんが実際にこのCDを手にしたら、ふざけてジャケットを顔にかかげ、手でイカのポーズをしてヌンチャクに得意げに見せつけるんじゃないか?」と思いついた。

もし「Splatune」のアルバム情報がオンライン登録されていたらこのカットは生まれなかった。
一瞬だけこのレイアウトを挿入するつもりだったが、イカサインで手をぶらぶらさせてみたらかなり「間が持つ」ことがわかり二番のサビを丸々まかせることになった。

完成したアニメを見ているうちに、「これ、にわか煎餅のお面じゃん」と気がついた。
で、このエントリーに画像をあげるためにデパートで買ってきたにわかせんぺい、とオマケでもらったお面(店員のお姉さんありがとう「お面一枚でいいですか?」だって)。

色もオレンジで一緒なんだよ。

にわかせんぺいのお面の来歴を調べると、博多の物好き連中が悪ふざけするときにかぶった提灯がはじまりというもんだから、このしめじちゃんがCDを使ってふざけているカットがなんだか重層的な意味を持ち始めてきて……(鳥肌注意)

「俺より先ににわか煎餅のお面との類似性に気づくなんて、しめじちゃんすげえええ」って感激したんだ。
ったくしめじちゃんは俺より冴えてるぜ。



○MVとして再構築していくなかで浮き彫りになるヌンチャクとしめじの関係とアニメの本質

アニメーションが持っている本質的なテーマに、「動くはずのないものが動く」というものがある。
映画「トイ・ストーリー」しかり。TVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」しかり。
(エヴァ初号機は動く可能性が0.000000001%(オーナインシステム)であり、1話と2話のテーマが「動くはずのないエヴァ初号機が動くまで」というものになっている)
シメジハウスに届けられた特別なアミーボには台座にスイッチがあり、これをオンにすると動くはずのないアミーボが音に合わせて動くようになる。
ダンシング・アミーボ。
これは「ヌンチャクしめじ」プロジェクトでの「アニメそのもの」を表現したイコンとなっている。
さらに、複数のエピソードで何回も出てくる「むらびと」と「ロゼッタ」はそれぞれ「しめじ」と「ヌンチャク」を象徴している。

2人を象徴するダンシングアミーボをテーブルに並べてえつに入っているしめじちゃん。
彼女は口に出さないだけで、ヌンチャクと2人きりのシメジハウスでの生活をとても気に入っていることの暗喩となっている。

・最初のサビ

しめじちゃんはヌンチャクの邪魔をするのだけれどヌンチャクは怒ったりしない

・次のサビ

しめじちゃんの悪ふざけに嬉々として協力するヌンチャク

・決して交わらない2人の視線
#1~#11まで徹底して表現してきた2人の視線。
ヌンチャクはじっとしめじちゃんを見るけれど、しめじちゃんはほとんどヌンチャクを見つめ返さない、すぐ視線をそらしちゃう。
でも、ダンシングアミーボは仲良くならべるしめじちゃん。

こういう2人の関係をシナリオの専門用語で「やおい関係」という
(ココ笑うところです)


このMVを構成する映像の内容↓

キャラクターが持っている機能を徹底的にプレゼンする
(饒舌なシッポ、すぐに不機嫌になって頭からキノコが生える、トラックを運転する、包帯機動で移動する、ゲームパッドが顔になる)

②ヌンチャクとしめじの関係はとても良好

過去のエピソードから上記の二つに当てはまるカットを選出し、再編集したものが今回のMVということになります。

(見てて動きが面白いアニメかどうかではなく、そのキャラクターのことが伝わりやすいかどうか、またキャラクター同士の関係性が表現されているかどうかで採用不採用を決めていきました)


○包帯機動をするために生まれてきたゼットシーク

ヌンチャクのお姉さん、包帯使いの女忍者ゼットシークが実際に「包帯機動」を使っているシーンはこの#11で初めてアニメ化されました。
ゼットシークはキャラデザの段階から「包帯をつかって町中を移動する」ことを前提に作られています。
(初期ラフとアニメ立ち絵)

全身に包帯を巻くことで包帯のストックが無限にあることを表現し、ヌンチャクのきれいな青い毛並みに対してのコンプレックス(自分の大好きなしめじちゃんと同居しているヌンチャクへ対する嫉妬も)もあらわしています。


○ゼットシークの森とラブクラフトの空

ゼットシークが駆けるこの森ですが……

これはエヴァ旧劇場版でエヴァ弐号機と量産型のエヴァシリーズが戦った第3新東京市のジオフロントをイメージしたレイアウトとなっています。
(ジオフロントは日照時間の関係から針葉樹林(人工的な植林?)ですが、オガクズタウンの森は広葉樹林になっています)
(ゼットシークのカラーリングとエヴァシリーズのカラーリングが同じなのは偶然だってば)
リボルテックヤマグチ No.118 エヴァンゲリオン量産機 (完全版)(amazon)

空に雲一つないのは、H・P・ラブクラフトの小説のなかにある(どの短編だったかは忘れた)「私は雲一つない青空がとても恐ろしい」という記述から来ています。これを読んだときはピンときませんでしたが、アニメにしてみるとなるほど不気味ではあります。

また私は、マンガ「ケロロ軍曹」において、地球に進入したゼロロが「土呂呂(どろろ)の森」にて負傷し、東谷小雪と出会いゼロロという名を捨てドロロという名前に改名するエピソードが大好きなので、このオガクズタウンの森を「ゼットシークの森」と(個人的に、心の中で)呼ぶことにしました。
(いつか「ゼットシークの森に入ってはならぬ」みたいな感じでセリフで出そう。かっこいい。)

しめじちゃんを守るため、シメジハウスへ近づく者に対して警戒を怠らないゼットシークがにらみをきかせる森。
この「彼女の庭」へ「空飛ぶダイオウイカ」が突然侵入してきたので、ゼットシークは包帯機動で追跡を開始します。


○ダイオウイカを横井軍平がデザインするとどうなるか

空を飛ぶダイオウイカは、ゲーム&ウォッチ「オクトパス」のタコのパロディデザインとなっています。
「Splatoon」のヒットを受けて、横井軍平が「ダイオウイカ」の特別なゲーム&ウォッチを作ったらどういうデザインや遊びになるのか、という仮想テーマでやってます。


○白色の導線の形成

カラフルなインクがメインビジュアルのSplatoonだからこそ、白をメインカラーにしています。
(対立法という演出)

白い小道具を使って映像に導線を。
終盤に出てくる、このMVが白色をテーマにしていることを宣言するカット↓


○上手(かみて)から下手(しもて)へ

※雲は下手から上手へ流れることで、上手から登場するものを際立たせる。

上手下手の概念は、多くの日本人が漫画で学習済みですので(←間違った選民思想)、皆が持っている経験則へアクセスする感じになります。
漫画や動画だけじゃなく、イラストなどでも重要な概念になります。



○なぜこのような長いエントリーを書いたか

「秘すれば花」という言葉にもあるように、このエントリーに書かれている様なことを作者自身が語るのは、完全にヤボなわけです。
このエントリーを読んだせいで動画を見たときの感動やおもしろさが半減する、という人も出てくるでしょう。

でもね、

私はアニメが完成し次のエピソードにとりかかり没頭すると、何故こういう話を作ったのか、どうやって作ったのかという記憶が完全になくなり、
過去のアニメを自分で見返しても「自分が作った気がしない」という現象に毎回おちいります。

製作にとりかかるきっかけと、製作途中の思考回路を時系列に沿って書き置いておくことで半年後一年後に自分でエントリーを読み返したときに記憶がよみがえるでしょうし、自分と同じようなアニメやミュージックビデオを作ってみようと思った人へのケーススタディとして何か役に立てるかもしれないという思いからこのエントリーを書きました。


○まとめ・感謝

「ヌンチャクしめじ」のアニメは視聴者であるあなたの存在が必要不可欠なのです。

シメジハウスをのぞき見るあなたの視線があって初めてこの動画が完成するのです。

つまり、再生・コメント等ありがとうございます!ってこと!

動画を見てくれて、さらにこんなに長いエントリーを読んでくれる人がいたとしたらそれはもうほとんど奇跡

今度お寺に行ったときにはあなたのこともついでにお祈りしてくるから、しばらくあなたの周りでラッキーな出来事がつづくと思いますのでお楽しみに。


さあ全部終わったから、シャンティやるぞおおおお。


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